ルヴェルグは二人が生きていることを確かめているのか、怪我はないか、痛いところはないかと尋ねてきた。

クローディアもリアンも何度も首を横に振り、自分たちを抱きしめている兄の腕に手を添える。この手の温かさで、生きていることを確かめてくれたらいい。

「──陛下。ここは人の目がありますので、中に」 

少し離れたところから見守っていたラインハルトが、一つ咳払いをしてから声をかけてきた。 

ルヴェルグは二人を抱きしめていた腕を解くと、ラインハルトの方を向いて柳眉を寄せる。 

「行方知れずとなっていた家族に無事に逢えたことを喜び、抱擁を交わしていたのだが。それは見られてはいけないものか?」

「そういうわけではございません」

「ならばどんな理由があるのか申してみよ」

「それを語る時間があるのなら、これからのことを話すべきだからです」

ルヴェルグは数秒間黙っていたが、ラインハルトに従うことにしたのか、少し肩を落とすと二人を振り返って笑った。

「──二人とも、中へ」

皇帝と臣下というよりも、まるで父と子のような二人を見て、クローディアとリアンも笑みをこぼすのだった。