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「──陛下! オルシェ公爵家より伝令が早馬で届きました」
珍しくラインハルトが大きな声を出したことに驚き、ルヴェルグは書類の山から顔を上げた。扉を閉めるよう侍従に合図すると、執務室から続いている隣の部屋にラインハルトと二人で入った。ここは壁が分厚い為、内密な話をするのに最適なのだ。
「──朗報か」
ルヴェルグの言葉にラインハルトはにっこりと笑って頷いた。
「ええ、本邸の父より連絡が。クローディアとヴァレリアン殿下を保護したそうです。ベルンハルトから話を聞いて、すぐに騎士を川へ捜索に行かせたそうで」
「さすがはセリエス殿だ」
ルヴェルグは肺の中の空気全てを吐ききるような、長い息をついた。安否が分からなくなってから今日で三日目。息が詰まるような思いだったが、今は胸の辺りが軽くなったようだ。
安堵の表情を浮かべていたルヴェルグだったが、ラインハルトが浮かない顔をしていることに気づくと、その肩に手を置いて顔を覗き込んだ。
「他にも何かありそうだな。話してくれるか?」
「……はい。此度の事故が起こった同日、偶然にもローレンス殿下が連れ去られました。その現場は孤児院に近く、オルヴィシアラ式の矢が落ちていた。また、エレノス閣下が国を離れていたことから、閣下が加担しているのではないか、と」
「そう仰っているのか? セリエス殿は」
「ええ、信じたくないですが。内密に捜査をされては如何かと書かれていました」
「──陛下! オルシェ公爵家より伝令が早馬で届きました」
珍しくラインハルトが大きな声を出したことに驚き、ルヴェルグは書類の山から顔を上げた。扉を閉めるよう侍従に合図すると、執務室から続いている隣の部屋にラインハルトと二人で入った。ここは壁が分厚い為、内密な話をするのに最適なのだ。
「──朗報か」
ルヴェルグの言葉にラインハルトはにっこりと笑って頷いた。
「ええ、本邸の父より連絡が。クローディアとヴァレリアン殿下を保護したそうです。ベルンハルトから話を聞いて、すぐに騎士を川へ捜索に行かせたそうで」
「さすがはセリエス殿だ」
ルヴェルグは肺の中の空気全てを吐ききるような、長い息をついた。安否が分からなくなってから今日で三日目。息が詰まるような思いだったが、今は胸の辺りが軽くなったようだ。
安堵の表情を浮かべていたルヴェルグだったが、ラインハルトが浮かない顔をしていることに気づくと、その肩に手を置いて顔を覗き込んだ。
「他にも何かありそうだな。話してくれるか?」
「……はい。此度の事故が起こった同日、偶然にもローレンス殿下が連れ去られました。その現場は孤児院に近く、オルヴィシアラ式の矢が落ちていた。また、エレノス閣下が国を離れていたことから、閣下が加担しているのではないか、と」
「そう仰っているのか? セリエス殿は」
「ええ、信じたくないですが。内密に捜査をされては如何かと書かれていました」


