「どうして私……こんな格好なの?」
「どうしてって、川に飛び込むのに邪魔だったから、脱がしただけだけど」
水を吸った衣服は錘になって、泳ぐ時の妨げになる。ドレスを着て水に入っていたら、大変なことになっていたとリアンは苦笑すると、クローディアの濡れた髪を撫でた。
それからリアンはここに辿り着くまで何があったのかを話していった。
燃え盛る建物から子供を救出した二人は、脱出するためにテラスから川に飛び込んだ。その時のクローディアは煙のせいで意識が朦朧としていたので、服を脱がされたことを覚えていないようだ。
荒れる川に流されつつも何とか岸へ上がったリアンは、近くにあったこの岩穴にクローディアを運び込んだという。
「寒い中そんな格好で居させてごめん。夜が明けたら、近くに人がいないか捜してくるから、もう少しだけ頑張って」
リアンは目線のやり場に困ったのか、少し気恥ずかしそうに目を逸らす。
「俺が履いてたズボンを乾かして、着せるか迷ったんだけど……そっちの方が困るから」
「風邪を引いたら困るものね」
「そうなんだけど、そうじゃないというか、いやそうなんだけど…うーん…」
リアンはぶつぶつと何かを呟きながら頭を掻いた。よく分からないクローディアは、両腕と両脚で身体を隠すように座りながら、こてんと首を傾げた。


