何もかもが、呑み込まれていく。生まれて初めて入った水の中は途轍もなく冷たく、深く、クローディアという存在の全てを引き摺り込んでゆくようだ。

縮まっていく視界で、黄金色が輝いていた。お日様のようなそれは大好きな兄と同じ色の髪で、いつか触って弄ることができたのなら、どんな風に結こうかと悪戯なことを考えたものだ。

「────」

誰かが、クローディアの名を呼んでいる。その声はどこかで聞いたことがあるような気がした。

「────、──」

何度も呼ばれているうちに、自分のせいで母が死んだと知った日に、祖母が教えてくれた名前の意味を思い出した。