◇
この一室のために造られたと言っても過言ではない煌びやかなシャンデリアが輝くのは、皇城の中でも限られた人間しか入ることが許されていない皇族専用のスペース──所謂皇帝一族の団欒部屋にある。何度見ても眩しいそれを見上げていたクローディアは、ルヴェルグの到着を報せる声で我に返った。
「──遅くなってすまないな」
時刻は黄昏時。待ちに待った月に一度の家族の晩餐会に遅れてやってきたルヴェルグがテーブルに着くと、皆も続いて座った。集まったのは皇帝とその兄弟であるエレノス、ローレンス、クローディアとその夫であるヴァレリアンだ。
ルヴェルグがワイングラスを手に皆に労いの言葉を掛けると、家族の食事会が始まった。
「エレノス、まとまった休暇を取るよう言い渡したはずだが、もう復帰しているとは。身体は大丈夫なのか?」
「ご心配をおかけしました、兄上。この通り、もう元気ですよ」
「いやはや何を仰っているのだ、兄上よ。ただでさえ細いというのに、更にお痩せになられて、その優雅な服の下が痩せこけのホネホネでポッキリ寸前だと部下が嘆いていたのだが」
ローレンスの言葉に吹き出しかけたエレノスは、白いクロスを口元に当てながら天井へと目を逸らした。
「エレノス、どういうことだ?」
「……痩せたのは認めますが…」
ルヴェルグは呆れたように笑うと、ワインを一口喉に流し込む。
「仕事が好きなのは良いことだが、身体を壊しては元も子もない。明日から三日間は休むように。…これは命令ではなく、家族を想う兄の願いだ」
皇帝の仮面を外したルヴェルグは心配そうな目でエレノスを見つめる。その想いが伝わったのか、エレノスはふっと優しく笑うと、真摯な眼差しでルヴェルグを見つめ返すと頷いた。
「ふふ、分かりました」
そんな微笑ましいやり取りを眺めていたクローディアは、料理長がこの日のために腕によりをかけて作った料理を口に運んでいた。
この一室のために造られたと言っても過言ではない煌びやかなシャンデリアが輝くのは、皇城の中でも限られた人間しか入ることが許されていない皇族専用のスペース──所謂皇帝一族の団欒部屋にある。何度見ても眩しいそれを見上げていたクローディアは、ルヴェルグの到着を報せる声で我に返った。
「──遅くなってすまないな」
時刻は黄昏時。待ちに待った月に一度の家族の晩餐会に遅れてやってきたルヴェルグがテーブルに着くと、皆も続いて座った。集まったのは皇帝とその兄弟であるエレノス、ローレンス、クローディアとその夫であるヴァレリアンだ。
ルヴェルグがワイングラスを手に皆に労いの言葉を掛けると、家族の食事会が始まった。
「エレノス、まとまった休暇を取るよう言い渡したはずだが、もう復帰しているとは。身体は大丈夫なのか?」
「ご心配をおかけしました、兄上。この通り、もう元気ですよ」
「いやはや何を仰っているのだ、兄上よ。ただでさえ細いというのに、更にお痩せになられて、その優雅な服の下が痩せこけのホネホネでポッキリ寸前だと部下が嘆いていたのだが」
ローレンスの言葉に吹き出しかけたエレノスは、白いクロスを口元に当てながら天井へと目を逸らした。
「エレノス、どういうことだ?」
「……痩せたのは認めますが…」
ルヴェルグは呆れたように笑うと、ワインを一口喉に流し込む。
「仕事が好きなのは良いことだが、身体を壊しては元も子もない。明日から三日間は休むように。…これは命令ではなく、家族を想う兄の願いだ」
皇帝の仮面を外したルヴェルグは心配そうな目でエレノスを見つめる。その想いが伝わったのか、エレノスはふっと優しく笑うと、真摯な眼差しでルヴェルグを見つめ返すと頷いた。
「ふふ、分かりました」
そんな微笑ましいやり取りを眺めていたクローディアは、料理長がこの日のために腕によりをかけて作った料理を口に運んでいた。


