クローディアとリアンを囲うようにしてやって来た二人の子供は痩せていた。身形は土で薄汚れており、手にはあかぎれがあった。

「ふたりはお城から来たの?」

その質問にクローディアは返答に困ったが、リアンが「違う国から来たよ」と答え、少女の頭を優しく撫でた。

少女は撫でられたことが嬉しかったのか、痩せこけた頬を綻ばせると、クローディアをじっと見つめた。

「あのね、たまにここに来てくれるお兄ちゃんもね、お姉ちゃんと同じ色の髪なんだよ」

「……え?」

クローディアと同じ髪色の男など、この帝国にはオルシェ公爵家の直系の血を引く人間しかいない。ということは、兄であるエレノスかベルンハルト辺りの人間がここに通っているのだろうか。

「見たこともないお菓子をね、持ってきてくれるんだよ」

少女は「こーんなの」と両手で輪っかを作る。それと同時に、少女の隣にいる幼子がお腹が空いたと泣きそうな声で言った。

幼子が泣き出しそうな顔をしたのを見て、リアンはクローディアの手を離し、その場でしゃがみ込むと、道の脇に咲いていた野花で花冠を作って幼子の頭の上に乗せた。

「…また、来るから。その時は一緒に野菜を植えよう」

お腹空いたと言った子供に、何故そのような約束をするのだろうか。お腹いっぱいになれる食糧を持っていけばいいのではないだろうか。

クローディアはそう思っていたが、リアンの言葉に子供たちが満遍の笑みを浮かべて去って行くのを見て、開きかけた唇を閉じた。