死に戻り皇女は禁色の王子と夢をみる


(…そっか。ディアは兄たちと凄く仲が良いんだっけ)

ローレンスは傍に控えていた執事に指示を出し、今リアンが着ているものの色違いを持って来させると、近くの部屋に入りリアンを着替えさせた。

「うむ、やはりこれもよく似合う」

クローディアが着ていたドレスと同じ水色のコートは、リアンの雰囲気をとても明るくさせていた。赤色を着ていた時は大人びて見えたが、水色の方がリアンの良さが引き立って見える。

大きなフリルがついた白いブラウスに、薄手の水色のコート、細身のパンツとショートブーツ。どこからどう見ても帝国の貴族にしか見えない麗しい青年を見て、ローレンスは満足げに微笑むと扉を開けた。

「では我が妹を頼んだよ。変な男が寄り付かないよう、殿下の美貌で追っ払ってくれ」

「どうやって追っ払うんですか」

「パチッとニコッと微笑めばイチコロさ」

イチコロってなんだ、とリアンは心の中でツッコミを入れた。これだからローレンスの周りには笑顔と人が絶えないのだろう。

「…では行ってまいります。色々とありがとうございました」

「礼なんていいのだよ。僕がしたくてしていることだからね。…その代わりとはなんだが、戻ったら“ただいま”と声をかけてくれると嬉しい」

リアンは瞠目した。まるで家族がするようなことを求められたことに驚いたのだ。だが嬉しくも思ったリアンは、花開くように笑って部屋を出ていった。