「…ありがとう。ディア」

そう言って、優しく微笑むリアンを見て、クローディアは息を詰まらせた。

リアンはこんなにも男の人らしかっただろうか。白くて細くて、女と見間違える顔をしているというのに、目の前にいるリアンはひとりの男の子に見えた。

月明かりに照らされている金髪は一際輝き、風に靡くたびに光が泳いでいるようで、まるで一枚の絵画のようだ。

「部屋の近くまで送っていくよ」

リアンの申し出にクローディアはコクコクと頷くことしかできなかった。声を出そうにも、胸の辺りが騒ついていてそれどころではなかったのだ。

(…どうしたのかしら、私)

自室の前でリアンと別れた後、入浴を済ませて布団に潜り込んだクローディアは、ぼんやりと月を眺めながら胸の辺りに手を当てた。

何をしても、胸のざわめきは治らなかった。