「あ…の、
よ、よろしく、ね」




梅森くんの顔を見ながら、なぜか緊張した面持ちの茉美。


……なんか、すっごい顔赤いよ?照れてる?


アンタ、よくそれでナンパできたね。メンタル強いのか弱いのか、どっちなの?



茉美が余裕ない感じも面白くて、ふふ、と笑ってたら




「志歩ちゃん、
おれら邪魔だからあっち行こう」




金沢さんが私にだけ聞こえるようにそう言って、


さっき茉美が座っていた席の方へ移動した。




「席空いてるから座ったら?」


「……あ、
いえ、大丈夫です」




金沢さんの申し出を断り、


そばで杖をついて立っていたお婆さんに声をかけた。




「あそこ、席空いてますよ」


「あらぁ、ありがとうねぇ」




ヤンキーの隣で申し訳ないけど…


お婆さんも吊り革なんて掴めないだろうし、座ってもらった方が安心だ。




「じゃあ、私たちは向こうで立ってましょう」


「………やっぱり、眩しいな…」


「?」




金沢さんが何か言ったような気がしたけど、気のせい?


問いかけても、『なんでもないよ』って返ってきて、


目的地に着くまで金沢さんと話して、主に茉美のグチで盛り上がった。