その後すぐに電車が動きそうで、ドアが閉まる。
吊り革に手が届かないので、掴まらずに立っていたら。
───ガタン
「わわっ!」
意外にも大きく揺れて、よろけてしまった。
コケないように踏ん張ろうと思ったんだけど
また揺れが来て踏ん張れなくて、
どんっ、と梅森くんにぶつかってしまった。
「あ…っ!
ご、ごめんなさいっ!」
「……いえ…」
梅森くんは吊り革を掴んでたから、よろけることもなく、私がぶつかっても平気そう。
でもいつまでもくっついていられないと思って、梅森くんから離れようとした…んだけど。
「……危ないから、このままで」
梅森くんは持っていた荷物を上の荷物置きに置いて、
吊り革を掴んでない手で、私の腰に手を回してきた。
「……」
「……」
な、なんだ、この状況は…
ちょっと、抱きしめられてるみたい…。



