「これ乗るよ」
ホームまで小走りでやってきて、
もうそこに停まっていた電車に乗り込んだ。
茉美たちは先に来てたみたいで、座席に座ってヤンキーたちとゲームしていた。
……おい茉美てめぇ…
自分が梅森くん誘ったんだからアンタが梅森くん連れて来いよ!!
なんて、お怒りの言葉を投げても無駄なのはわかってるので言わない。無駄な労力は使わない。
……言わないから茉美も調子乗っちゃうんだろうけど…;
私たちが着いた頃にはもう席も空いてなくて、
私と金沢さんと梅森くんは乗降の邪魔にならないように気をつけつつ、ドア付近に立って発車を待った。
ボストンバッグを手に持ったままだった私に、
金沢さんがヒソヒソと、梅森くんに聞こえない声で話しかけてくる。
「荷物持とうか?志歩ちゃん」
「……あ、金沢さんっ」
この姿で、『志歩ちゃん』って呼んだら
梅森くんにバレてしまう…!!
くいくい、と袖を引っ張って、屈んでもらうように促した。



