靴を脱いで揃えてたら、
「そんなのいいよ」って金沢さんに言われた。
「そんな気ぃ遣わなくていいから」
「あ…、すいません…癖で」
地下アイドルの、質素な楽屋でも
私は茉美の分もこうするのが当たり前だったから。
「……志歩ちゃんって、意外に真面目なんだ?」
「意外、ですか?」
「え…うん。
茉美より、仕事に対してストイックで
こういうことは、下の者にやらせてるイメージだった」
「私たちより下の者なんていませんよ」
底辺地下アイドルだぞ。
マネージャーも、ライブハウスのスタッフさんたちも、私たちを拾ってくれた大事な人。
見下したことなんて一度もない。
「……そんなことないよ。
志歩ちゃんに憧れた人もいると思うし。
っていうか、ここにいるし」



