「ただいま帰りましたー」
「おかえり〜！って、おまえの家だけどなー（笑）」
アパートの一室。
金沢さんがガチャリと扉を開けたら、奥から複数人の笑い声が聞こえた。
「あ、お、お邪魔します…！」
ちょっと緊張して、声が裏返る私とは裏腹に
もう金沢さんの家に来ることには慣れているのか、茉美は『ただいま〜』と言いながら部屋の奥へ歩いていった。
「……自由でしょ。
遊ぶ時、だいたいいつもおれの家で、
みんなもう、遠慮とかないからさ…
『お邪魔します』って言われたの、久しぶり」
玄関に残された私と金沢さん。
金沢さんははぁ、と諦めにも似たようなため息をついた後、ガチャッと玄関の鍵を閉めた。
「……仲良くても、
遠慮とか、しますよね、普通」
「……まぁね。
アイツらはそういうのないんだよ。
仕方ないとは思ってる」
