「高層マンションじゃないから、
部屋は普通だよ」
「あっ、はい。普通でいいです」
「でもこのアパート自体が
旭のお父さんのものだから」
『マンションじゃないけど、金持ちの証拠!』と茉美が言う。
ははは…と苦笑いする金沢さん。
あんまりお金持ちだって触れられたくないのかな。
話題を逸らそうと思って、「そういえば!」と声をあげた。
「なに、どしたの志歩?」
「あ……き、今日ね、あの…
私たちのファンだったって人、いた…」
「まじぃ!?」
茉美の興味を逸らそうと思って言ったけど、
それは私が膨らませたくない内容だった…墓穴。



