会場が一体になったみたいで
今までは長いと感じていた曲が、とても短く感じた。
曲が終わった瞬間。
「「わぁーーー!!!」」
手拍子が響いていた体育館が、今度は歓声と拍手の音に包まれた。
「やべー!震えたーー!」
「歌上手だったよー!」
「楽しい!」
誰かが言い始めた、「アンコール!アンコール!」という声が、大きくなっていく。
……こんな…こんなに
求められることが、今まであっただろうか。
みんなが私たちに笑顔を向けてくれたことが、あっただろうか。
『あ…あり…っ』
気持ちがたかぶって、ありがとうって言葉が上手く出てこない。
泣きそうなのを我慢して言葉を紡ごうとした時。
「しほみーーん!
ありがとーーー!!」
『……!』
盛り上がる会場の中、
梅森くんの声が、はっきりと聞こえた。



