「直くん」


「………」


「直くーん!」


「……え?
あ、すいません、なんでした?」


「なにが好き?
あたし、買ってくるからさ!」




しほみさんと別れて、茉美さんたちとまたお祭り会場に戻ってきた俺。


茉美さんは綿菓子を食いながら、俺に「奢るよ」って言ってくる。




「…いいですよ。さっき食べたんで」




本当は食べれてないけど。


しほみさんのことが気になって、食欲なんてない。



…しほみさんは今頃、部屋でたこやき食べてるかな。


それとも、さっきので悩んで、彼女も食欲ないかな。



……俺が、悩ませてしまったんだろうか。