いや、話したこともないのに声かけるのもおかしいか。
気付かないフリして補充作業してたら離れてくれるかもしれないし。さっさと始めよう。
ドスン、と段ボールを下に置いたら、
私がいたことに気付いてなかったのか、雑誌に手を伸ばそうとしていた男の子がビクッとして手を引っ込めた。
「あ、すみません」
驚かせてしまったみたいで謝ったら、
男の子は「大丈夫です」って平然とした顔で返してきた。
……この人、クラスでも人気の…っていうか、めちゃくちゃ女の子にモテてるイケメンくんだ。
たしか…梅森直くんだったかな?
梅森くんの家、こっちの方なのかな?



