胸の奥がきゅんきゅんしてくるのを感じて、咄嗟に視線をそらせた。


これ以上西原くんと見つめ合っていると、心臓がもたない。


「みんなにも、そんな風に接すればいいと思うよ」


子猫を見つめて、ポツリとつぶやくように言った。


「西原くんは優しいんだから」


そこまで言ってハッと我に帰った。


私ったらなんてこと言ってんの!?


転校してきたばかりで何も知らない女に、こんなこと言われたくないに決まっているのに。


「ご、ごめんなさい! 生意気なこと言って。私ただ、西原くんはとても素敵な笑顔を持っていると思って、だからっ!」


一生懸命言い訳をするけれど、自分でもなにを言っているのかだんだんわからなくなってきてしまった。


焦る頭は熱を持ち、声は小さくなって消えていく。


ついにはうつむいて黙り込んでしまった。


西原くんはキョトンとした表情をこちらへ向けている。


呆れられたのかもしれない。


そりゃそうだよね。


好き勝手言っておいて急に黙り込むんだもん。


きっと西原くんは困っている。