差し出された白い小皿を子猫の前に置く。


子猫はご飯がまだかまだかと待ち遠しくて小さな声で鳴いていた。


小皿にミルクをうつす私の隣に西原くんが座り、子猫の頭を軽くなでた。


「今日も来てくれてありがとう」


「え?」


西原くんの言葉に私はまばたきをする。


「あんなことがあったから、もう来ないかと思った」


そう言う西原くんの横顔はどこかさみしげで、胸騒ぎがした。


子猫はそんなこと知らなないと言った様子で一生懸命ミルクをなめ始めている。


「来るよ!」


思わず声が大きくなってしまい、西原くんが驚いた表情をこちらへ向ける。


西原くんからまっすぐに見られて心臓がまた跳ねる。


顔は真っ赤に染まっているかもしれない。


「ありがとう」


そういう西原くんは本当に嬉しそうで、クシュッと歪められた顔は子供みたいで可愛らしい。