「わ、私が聖也の近くにいると、他の子たちが聖也に近づけないかもしれないし……」


それは本心じゃなかった。


私なんかが近くにいたって、きっとみんな気にならない。


聖也の周りにはもっともっと素敵な女の子たちで溢れているんだから。


そう思うとまた気持ちが落ち込んできてしまう。


どうしてだろう。


聖也に彼女ができたって、私には関係ないはずなのに昨日からずっと動揺しっぱなしだ。


「それじゃ聖也くんが可愛そうだよ」


「どういう意味?」


「え、気がついてないの?」


なんのことかわからないけれど、若葉は本気驚いたように目をまるくして私を見ている。


一体なんのことだろう?


「さっき聖也くんから美奈子に話しかけたよね?」


「うん。それがどうかしたの?」


「聖也くんが自分から女子に話しかけるのって、美奈子ひとりだけだよ?」


そう言われて今度は私が驚いた。


目を見開いてなにも聞き返すことができなくなる。


「他の子たちは一生懸命に聖也くんに近づこうとしているけど、聖也くんが自分から近づくのは美奈子にだけ」