普通の感情なんだ……。


そう言われて胸の中のモヤモヤがすーっと晴れていく気がした。


私はあの時傷ついた子に同情しながらも、自分の感情にもちゃんと目を向けていたってことなんだ。


そう理解したと同時についさっき若葉に言われた言葉を思い出す。


『好きな人に彼女ができなくてよかったーって』


「って、好きな相手じゃないし!」


慌てて否定してももう遅い。


若葉はニヤニヤとした笑みをこちらへ向けている。


「ほ、本当にそういうんじゃなくて! 聖也とはただの幼馴染だし、ちょっと気になっただけっていうか」


「ちょっと気になっただけでここまで逃げてくるんだ?」


更に突っ込まれて返事ができなくなってしまう。


うつむき、黙り込む私の顔はさっきよりも体温が高くなっている。


きっと真っ赤になっているんだろう。


こんなんじゃ、聖也のことが好きだと認めることになってしまう。