「うん……」
「だから俺、中学1年の時、家出した」

「え? 家出?」
「あぁ、荷物まとめて夜中、こっそり家を抜け出したんだ。ここから抜け出せば、家でもなく学校でもない、俺の本当の居場所があるんじゃないかって」

私はじっと一輝の横顔を見る。
なんとなくだけど、ちょっと悲しそうな表情を浮かべている一輝。

「だけど、現実は甘かった。俺は、すぐにガラの悪い男につかまって、どこだかわかんねぇ裏路地に引きずり込まれて、挙句の果てにボコボコにされた」
「……っ」