「俺のオヤジは大企業の社長でな。だから、昔から金目当てで俺に近づいてくる女が凄く多かった。オヤジはそれを嫌がってたのを知ってて、さらには俺の婚約者まで何の相談もなく決める始末」 私は、恐る恐る一輝の顔を覗き込んで尋ねる。 「婚約者……、って誰?」 すると、一輝はさらりと言った。 「同じクラスの姫乃寧々」