「あ、あの、私とは初対面……、ですよね?」
「そーだけど?」

「“結婚”とか“姫”とか、一体何なんですか……?」
「そのうち理解できるって。お前に拒否権はねぇから、ま、諦めてくれや」

「あっ、待って……!」
銀色の男は、私の引き止めを無視して昇降口の中へと消えていった。

「姫華! 悪い、俺が焦り過ぎた。立てるか?」
「う、うん」

差し伸べられた手を握って起き上がり、制服のスカートのホコリをはらう。