勇飛は頭を手でくしゃりとしてから、苦しそうに顔をゆがめた。
チラリと、姫乃さんは私に視線を向けて、ニタリと笑う。
そして、形のいい唇がゆっくりと動いた。
「私はね、小日向くんと取引したのよ、ウフフ」
「取引?」
「ええ、私が貴方と小日向くんとくっつける代わりに、小日向くんは一輝様を説得して姫の座を私に譲るように説得する……、というものよ」
「なに……、それ。そんな変な取引、勇飛がOKするわけない! 勇飛は……、きっとなにか姫乃さんに他に弱みを握られてそうしているだけでしょう!? それに、こんな私を勇飛が好きになるわけない!」

