喧嘩が始まる間際、一輝に「守るから」と囁かれたのを思い出し、こんな状況でもドキドキしてしまう。
喧嘩は見ている限り五分五分の状態だ。

一輝は、9名の幽蘭族の下っ端を地面にたたき落としたあと、クイっと、挑発した手招きをする。
「さあぁぁすが、銀蘭族の総長さんだなあぁぁぁ、」

ようやく出てきた幽蘭族の総長は、なまった体をほぐすように首を左右に振った。
そして目線は一輝━━、ではなく何故か隠れている私に向けられる。

「まあぁぁ、今回の女も悪くはねぇぇ、けど、お前別の女とも関係を持っている癖によぉぉ、モテる総長ってのも辛いよなあぁぁ、」