周りには可愛い子が集結して、一輝に声をかけているのに当の本人は眠り続けている。
でも、顔立ちが羨ましいくらいに整っているから、例えるなら眠りの王子みたいだな、と思った。

暴走族の総長だなんて、今は全く感じられない。
視線を戻そうとした瞬間━━。

タイミング悪く一輝の瞳が開いて、バチっと目線が合った。
私は慌てて目線を逸らしたけど、顔が思わず赤くなる。

一輝のことは嫌い……、ではないけど、好きでもない。
なのに、なんで目が合っただけでこんなにドキドキしているんだろう。

意識する理由なんて何処にもないはずなのに。