勇飛は真顔で、「ふーん、それならいいけど」と言って自分の席へ戻って行く。
昨夜、銀蘭族のたまり場に行って、一輝にキスされたなんて、誰にも言えない。

特に勇飛には、絶対に知られなくない。
幻滅されるだろうし、何より怒るのは明白だ。

しばらくはビクビクしながら勇飛と喋らなくちゃいけないなんて、気が重い。
でも……、こういう時に限って“アイツ”は何故か教室に居るんだろう?

私は次の授業の準備をしながら、そっと横目で彼の姿を見た。
やはり私と同じく自分の席で寝ている、一輝。

まるで死んだようにさっきからピクリとも動かない。