すると視界いっぱいに入ったのは、おんぼろの大きな倉庫が立ち並ぶ姿。
私は黙って、ちょこちょこと一輝の背中を追う。

半開き状態の扉を開けて、目でうながされた私は彼と共に中へと入る。
「一輝さん、お帰りっす! こっちの準備はバッチリ出来てますよ!!」

頭を赤に染めた下っ端らしき男の人が、にこにこしながら声をかけてきた。
すると、その人の視線は一輝から私に移動する。

「あれ? もしかしてこの女が━━、」
「黙れ。お前はいつも言わなくていいことを言う。気を付けろ」