「えっ……、あっ、待っ━━、」
“待って”という前に、彼は非常階段を下りて行き、姿が見えなくなった。

……一体何だったんだろう、あの人は。
ううん、それよりも。

「助けに、行かなきゃ」
私の足は裏門まで一直線に向かっていったのであった。

裏門は、滅多に人が出入りしない場所だから、不良たちの目につきやすいのを私は知っていた。