「怖いもの知らずのお姫様も、悩むときなんてあるんだな」
嫌味を言われてカチンときたものの、私は顔をそらすだけで我慢した。

「そうだ。さっき裏門でなんか揉めてるみてーだったから、お前、助けに行ってやれよ」
「も、揉めてるって、もしかして……」

「ああ、ガラの悪い男が金出せって言ってる声がした。被害者は、多分ウチの学校の奴らだろう」
沈黙が数秒間続いたあと。