スマホの時刻を見ると、もうお昼を回っていた。 「姫華、家まで送ってやる」 一輝にそう言われて、私は彼と倉庫を出た。 「あ」 倉庫の戸を閉めながらすぐに一輝は、なにかを思い出したように声をあげる。 「どうしたの?」 私は聞き返した。 「いや、まだお前に伝え忘れたことがあってよ」 頬を指でポリポリして、なんだか珍しく落ち着かない様子の一輝に私は首を傾げる。