全然知らなかった。
一輝にこんな辛い過去があったなんて。

「なーんでお前が泣きそうな顔してんだよ」
「だ、だって……」

「泣くの禁止だ。姫華には笑顔の方が似合う」
ドキンと私の心臓が高鳴る。

「……で、俺は剛さんに助けられたのがきっかけで、銀蘭族に入ったワケ。俺は俺なりに努力して、なんとか総長の座を手に入れた。剛さんみたいな、大切な人を守れるような強さが欲しかったからな」