玄関を開けて中に入ったから後に続く。
「ただいま~」
すぐに奥からお母さんらしい人が出てきた。

「おかえりなさい。あら、かわいいお客様
はじめまして、母の椿です」
「こんにちは、中原雪希です。
お邪魔します」
お辞儀をして辺里くんの部屋にお邪魔した。

畳があって襖があって箪笥が合って、
いかにも和をイメージした部屋で、
僕の部屋とは180度違う家具と内装に憧れる
「それで単に宿題が理由ってわけ
じゃないだろ?」
辺里くんの勘の鋭さに少し怖くなる
(まぁ初めてじゃないけど)
「うん」 
(辺里くんは僕より大人っぽいから
いい考えがもらえるかな)

「あの、相談があるんだ。いいかな?」
「いいよ、俺に答えられることなら」
「あの、例えばの話なんだけど
認めてくれない親に認めもらいたいためにはどうすればいいと思う?」
(蓮には偉そうなこと言っておいて、
僕はずるいな)

辺里くんは目を瞑り考えて再び目を開いた。
「そもそもなんで認めてもらいたいの?」 
(なんで?なんで、・・・。
上手く言えないけど)
「このままじゃダメな気がして。」
弱々しい吐いた言葉に
「無意味だと思うよ。」
はっきりと言われた言葉がのしかかる

「無意味、」
「はっきり言って認められてどうするの?
認められて何が変わるの?
今までみてもらえていなかった。でも
アイドルとして有名になって、手のひら返す
ように認められても虚しくない?」

ー頑張ったね、雪希ー
ー雪希は父さんたちの自慢だー
(そんなことを言われるのは絶対にない
だろうけど)
「雪希、雪希がいつから寮に住むように
なったのかは知らないけど、一度でも電話
とかメールとか受けたことある?」 
「な、ない」
「最終的に決めるのは雪希だからしつこくは言わない。でも僕が雪希と同じ立場だったら知らないふりをするかな。」
(父さんたちが望んだような子供じゃなくて
ごめん。でも僕は自殺したくない)

「辺里くん、そうだよね。
認めてくれない人に認めてもらおうなんて
無理な話だよね。相談に乗ってくれて
ありがとう。」
「お役に立てたたらよかった。」
「あの、」
「ん?」
首を傾げた辺里くんに無言の圧を感じる。

(気にしすぎかな、でもやめとこう)
「ううん、なんでもない」
「そう?」
それからは深く聞くことはできなかったけど
「そういえば宿題なんだけど、
教えてくれる?」
というから少し宿題を教えて寮に帰ろうと
したら
「あの、雪希ちゃん。少しいいかしら」
と椿さんに呼び止められて
「大丈夫ですよ」
と答えて案内されたのは玄関を開けて中に入ったから後に続く。