舞が翔さんに送ったチケットの
公演日は2週間後。
色々なところからひっぱりだこの翔さんには
無理じゃないかって舞に言ったら
「わかってる、でも証明したい。
私たちはあの時から成長したんだって」
2週間でいろいろなことを終わらせる。

まずはレコーディングを完璧にする。
10時にスタジオに入り5時まで。とにかく
歌って、テイクを繰り返し喉が使い物にならないくらい歌ってあっという間に5時。
ロビーで他の3人と合流して車に乗る
「あ"ー、喉、枯れる」
「舞、女の子が濁点のつく声はちょっと」
「のど飴舐める?」
「ありがとう、蓮」
類が苦笑すると隣から舞に向かって
飴を投げ渡す。

特に変わらない光景だけどなんか気になる。
「ねぇ、3人とも。
何か僕に隠してることない?」
なんか3人がそわそわしてる。
「え、別に何もない、けど。」
「あ!そうだ!
みんな好きな動物って何?
私は猫」
舞が蓮に振って、話を広げ始めた

蓮は犬、類はうさぎと答え
「僕は、ペンギンかな」
「「「ペンギン!?」」」
「え、うん」
(そんな驚くこと言ってないと思うけど)
「意外、だった?」
「いや、そんなことないよ」
舞が首を振ったがすぐに難しそうな
顔になった。


雪希の誕生日を聞いたその日、雪希を除く
3人で話し合った結果、雪希の誕生日プレゼントは雪の好きな動物のぬいぐるみにライブ衣装を着せたものにしようと決まった。

ー翌日ー
ソロ取りが全員上手くいって、
早くスタジオを出ることができたから布を見に行こうと思った。でも問題がある。
(雪希、どうしよう)
そう思ってたのに
寮についてすぐに雪希は中に入り、
用意していたであろうバックを持って外に
出てきた。
「雪希、どこか行くの?」
類が聞くと頷いて
「うん、思ったより早く終わったから辺里
くんの家に行こうかなって。宿題手伝ってって前々から言ってたし」
走って行った。

走って近くの角を曲がって、息を整える。
(きっと僕がいない方がいいんだよね)
辺里くんから宿題を頼まれたというのは嘘。
なんの重さもないバックを持っているのが
何故か虚しい。

嘘をつくのが上手くなったのか舞たちが
浮かれて気づかなかったのかはわからない。
これからこれからどうしようと思っていると
「雪希?」
声をかけられて振り返ると
「辺里くん、」
「何してんの?」
「あー、ちょっとね。散歩?」
「そっか。じゃあお使いの途中だから。」

横を通り過ぎようとした辺里くんの腕を掴み
「あの、辺里くんの家に今から
遊びに行っていいかな」
「今から?!」
「うん、辺里くんって夏休みの宿題
終わった?」
「まだだよ!?まだ8月はいってないし!」
「あ、そっか。
忙しくてもう八月半ばの気分」
「まぁいいけどさ」
「ほんと!?」

10分ほど歩いて、
「ここ」
(お、大きい)
門構えを潜ると右手には
(て、庭園!
なんか鯉が泳いでそうな池がある!
水の重力で竹がカコンってなるやつ!
名前、なんだっけ!?)※ししおどし
と表に出さないか終始テンション爆上がりだった