「そっか。あのさ、
雪希をいじめてたのって誰か分かる?」
僕たち3人の空気が変わった。
蓮のシャワーの音が嫌というほど響く。

「る、類?」
「俺たちが出る幕じゃないのは
分かってる。もう雪希が大丈夫なことも。
蒸し返すようなことじゃないかもれしれない。しゃしゃりでる事じゃないかもしれない。でも仲間が傷ついて見過ごせるほど俺
たちの絆は浅くないんだ」
いつにもなく真剣だった、
舞が止めないってことは舞にもその気持ちがあるんだと思う

「別に炙り出しして何かをしようって
事はない。ただ雪希に聞いてもはぐらかさずと思うから君たち2人に聞いているだけ。
もしかして、当事者、だったりする?」
真剣な表情の類、言い逃れできるか、
でも僕が横から口を出すのも・・・。
「なんて、ごめんね。変な空気にさせて。
冗談だよ。」

立ちながらそう言って、
どこかに行こうとする。
「あの、類さん」
ソファから立ったのは辺里くん。
「俺、なんです。雪希をいじめたのは」
「辺里くん、」
「俺も、雪希に酷いことしました」
「宮本くん」
少し間があいて
「2人だけ?」
その声は驚くほど穏やかで少し怖い

「いえ、でも完全な敵視をもった
クラスメイトを判別することは俺はできません。向こう側にいる教師もいますがそれについては策があります。」
「そっか、雪希」
「な、なに。類」
呼ばれるなんて思ってなかったから少し反応が遅れる

「雪希にとってこの2人はどんな存在?」
「どんな存在かって聞かれるとよく
わからない。けど僕は2人と友達でいたい」
きっぱりと言った僕の顔を類はじっと見つめ
「そっか」
とだけ小さく言った。

「辺里、サイン頼まないの?
せっかく会えたのに」
「本当、宮本は空気よまないな」
あっけらかんとした宮本くんに辺里くんは
ため息をついた。

僕は正直に言って乗り気じゃなかった。
後ろにいた舞の肩がほんの少しだけ
動いた気がした。
(舞?)
「言っとくけど宮本、ファンにもそれなりのルールがあるんだ。一応、覚えておきなよ。アイドルでも芸能人でもプライベートで
会った場合、お願いするのは握手のみ、
サイン、写真などはNGってことが多いんだ」
真剣な辺里くんの言葉になるほど
と頷く宮本くん。
「仮にプライベートでOKだったとしても
俺はしない。なんか抜け駆けしたみたいで嫌だし。逆に他のファンに申し訳ないなって
思う」

(へー、そんなこと思ってたんだ)
それから少し談笑して2人は帰って行った。
(今度は僕が2人の家に遊びにいきたいな)