舞はダンスを踊りながら歌った。
すると今までよりすごく良くなった。
「さっきまでのが嘘みたい」

僕の呟きに
「うん、私も驚いてる。」
舞は少し困惑していた。
蓮はプレーヤーを片付けて類
はドアの向こうで
「そろそろ行こうか」
という声に電気を消し、レッスン場を出た。

寮に帰ってソファに座っていると
「なぁ、雪希。
勉強中に思ったんだけど」
「何?蓮」
「雪希ってずっと休んでるつもり、
なのか?」
恐る恐る聞く蓮。多分、舞と類も気になっていること。

「ずっと逃げてるわけにはいかない。
ずるずるしてるとどんどん出て行きにくくなる。わかってる。でも、もう少しだけ、
猶予が欲しい。」
僕を見下したあの笑顔、背中がゾッとして
思い出すだけで怖くなる。

「そっか、あのさ雪希の学校って中間テストと期末テストっていつなんだ?」
「確か年間行事予定表には中間テストは
明後日、期末テストは6月の半ばだった気がする。」
そう答えると蓮は考える素振りをして
「約1ヶ月か」
と呟き
(1ヶ月?)

「雪希、期末テストは出席するか?」
(1ヶ月後には学校、正直怖いけど踏ん切りを
つけるにはいいタイミング)
「し、出席する!」
「よし、きた。」
僕の決意表明に蓮はニヤッとした。
「期末テスト、俺たちが面倒見るから
クラストップになれ」
「え、」
「「はぁ!?」」
僕の声を被せて舞と類は叫んだ。

蓮から出たとんでもない発案に私も類も
驚きを隠せない。
「ちょっと蓮!いくらなんでもそれは」
私の反論に蓮は
「え、舞はできないの?俺はできるよ、
後輩の面倒を見ながら俺は学年5位以内を取ってみせる。まぁ仕方ないよね、自分のことで手一杯なら無理強いはしないよ」

清々しい笑顔で言った。私は
「やってやろうじゃん、
でも私は学年3位以内に入る。」
手のひらで転がされた。
「言ったね」
「ちょっと舞、考え直したら?」
類にそう言われたが
「ねぇ、類。考えてみなよ。学校に来なかった人がいきなりの期末テストで満点を叩き出して上に立たれるんだよ。それって屈辱以外なんでもないよね」 
「雪希、1ヶ月で一学期分の知識を叩き込むから覚悟しておいて」
類も蓮の口車に乗せられた。

そうして僕は3人の特別課題を受けることになった