「でも、今回のことで考えが変わった。
蓮、アイドルをやめろ」
「は?」
「俺は心配なんだよ、蓮が。
挫折させたくない、傷つけたくないんだ」
「何言って」
さっきまで光があった目が光がなく
暗く見える

「怪我してチームメイトにも迷惑かけて
しまっただろ?蓮に傷ついてほしくないんだ。知ってるか?楽しいだけじゃないんだよ、芸能界は。」
「そんなの、わかってる。でも俺はずっと頑張ってるよ、勉強だってトップを収めてるし、運動だって、」
「その程度で頑張ったと思ってるの?
それはお門違いだよ。
蓮はもっと頑張れるよ」
笑ってるけど怖い。

どんなに頑張っても認めてくれない。
わかってた、でも今度こそってどこかで期待して、頑張っても頑張っても父さんは認めてくれたことなんてない。
母さんは元から俺には興味ない。
両親が大切にしてたのは
「「茉莉が1番だよ」」
俺じゃない。

茉里は、妹は元々体が弱かった。
よく入退院を繰り返していて
両親の関心は全て茉里に向けられた。
その茉里は、3年前に亡くなった。
茉里が小3に上がってすぐに。
茉里はよく勉強ができた。

テストもいつも高得点でよく褒められてたのを覚えてる。頑張ったな、て。
でも俺が満点のテストを見せても
お兄ちゃんだからできて当然、と言われた。
お願いしたらなんでも買い与えられる妹、
お願いしてもまた今度、と人蹴りされる兄
可愛がられる茉里が大嫌いで
でもそんなことを思う俺が1番大嫌いで。
俺は茉里を殺してしまった。

何度目かの入院の時、父さんと母さんで
お見舞いに行って
2人は売店に行ってくると席を外してその間に体調が急変して、
とても息苦しそうで、
「お、にいちゃ、ん」
そう言った茉里の体は汗でぐっしょりで
伸ばしたその手をーーー振り払った。

両親の愛情を一身に受けているのに
俺に縋る茉里の姿が憎くて。
振り払って病室を走って出た。
その後すぐに茉里は死んだと父さんから聞いた。
俺が、茉里を殺した。 
父さんには殴られた。
母さんには罵倒された当然だと思った。

「茉里の代わりに死ねばよかったのに」
母さんから吐き出された言葉に、
(そうだよな、俺が死ねばよかった。
俺の命で茉里が回復すればどんなによかったか。)

「これ以上、蓮が傷つくのは嫌なんだ。
頼むから、これ以上自分勝手なことしないでくれ」
悲しそうな顔で父さんは言ったが信用できない。口ではなんとでも言えるが用は自分が
めんどくさくなるようなことはさせたくないんだ。何をしても認めてくれない、
いや、認めない。両親にとって、
もしかしたら類たちにとっても俺は
「認められない存在」
「そんなわけない!!」

虚だった俺の目に飛び飛んだのは
類たちだった。