話そうと思ったが、もうすぐ朝の会が始まる。それに変なところで区切るのもどうかと思ったから、放課後私の家で話すことに。

帰り道、類さんに
私が知ってることを全て話そうと思います
とメールを送ると、電話がかかってきた。
「誰?」
「知り合い、ちょっと先行ってて」
舞にそう言って、私は通話ボタンを押す
「類さん、」
「紗南さん、全て話すって?」
その声は少し怒っているように聞こえる

「その言葉通り、です。」
「これは、俺たちの問題なのに?」
遠巻きに勝手なことをするな、と言われている気がする。でも

「私が部外者なことは分かってます、
足を踏み入っていい問題じゃないことも。
でも私の言ったことで100%記憶が戻るという確証はありません。
それに、舞はこう言ったんです。
忘れたままでいたくない。辛いことでも苦しいことでも私が経験したことだから、って。私だって舞が苦しんだり自分を責める姿を見たい訳じゃありません。でも舞がそれを望んでいる。私は少しでも舞の力になりたいんです。友達ですから。」

「友達ねぇ。まぁそれも一理あるね。
俺たちは無くしたままでも変わらず舞のそばにいようと思ってた。
でも舞がそれを望むなら、
手助けをして欲しい。俺たちの大切な仲間
なんだ」
類さんは仲間を強調して言った。
(なんか引っかかる言い方だな、この人)

それから家で私の知ってることを全て
話した。
舞がアイドルをしていること、
類さんたちとチームだということ、
チームには後1人、蓮先輩がいること。
舞は私が話終わるまでなにも言わなかった。
終わっても首を傾げ、わかってないようだ。

「私がアイドル、ピンとこないな」
舞は軽く笑ってそう言い
「でも真実なんだよね。ありがとう、
教えてくれて」
真面目な顔をして答えた。

私がアイドル、正直に言って信じられない。
でも紗南がそう言ってるんだから真実なんだろう。引っかかったのは蓮先輩のこと。
「あのさ、紗南。蓮先輩の髪色って、」
「髪?オレンジに近い髪色、だけど」
あの夢で見たのはもしかして蓮先輩なのか
もしれない。
「ありがとう、紗南、話してくれて」
私は紗南にお礼を言って家を出た。

寮に戻ると類さんと雪希くんが神妙な顔を
していた。
「友達から聞いてきた。私がアイドルをしていること、同じチームだっていうこと、
そして蓮先輩のこと。気づかないうちに傷
つけてた。ごめんなさい」
そう言い私は頭を下げる。

「正直、忘れられたことは怖かった。
でも、また今までとは違う形だけど一緒にいることができている。だからどんなに時間
がかかっても、俺たちは待つよ。」
「いつか、必ずRainbow Roseが解散する時は来る。それでも僕たちの絆は壊れないって信じてる。いや、誰にも壊させない。
ゆっくりでいい、ずっとそばにいるから」
類くんと雪希くんは微笑んで言ってくれた
「うん、必ず取り戻す」
私の決意は揺らがない