仲直り?が終わってのんびりしていた頃、
俺たちは事務所に呼ばれた。
もともと学校をサボ、休むつもりだったので特に困りはしなかった。
事務所で一番に言われたのは

「え、入れ替え、ですか?」
「うん、舞と蓮がまだ目覚めないでしょ。
これからって時に活動を休止にするのは
良くない。事故のことで今はニュースとかで知られているけど、時間が経ったら忘れられる。あなたたちには伸び代がある。せっかくデビューしたのに、解散は早すぎる。
だから舞と蓮が復帰できるまで代役を入れて活動するっていうのが上の考えなの」
杏子さんの声は沈んでいる。

事務所の言いたいことはわかる。
今は事務所に所属してなくてもアイドルができる時代。
駆け出しはどんどん前に出ないと埋もれる。
代役を入れて、ライブとかした方がいいんだろうけど、でも
「俺は、」
「嫌です!!」
「雪希、」

「僕は嫌です。たとえ期間限定だとしてもRainbow Roseに他の人が入るのは嫌です
目が覚めたとき、自分の場所に違う人がいたら僕だったら耐えられません。わがままで
自分勝手なのは分かってます。代役はなし
でも二人の席を開けたままで活動したいんです。いつでも二人が戻ってこれるように。
お願いします。」
隣でそう訴える雪希に
(あーあ、言いたいことを全部持っていかれた)

「俺からもお願いします。事務所の方針は
理解しています。ですが俺たちは活動が
できれば、誰でもいいわけではありません
選別で集った俺たち四人、この絆を壊したくないんです」
頭を下げると雪希も頭を下げた。

頭上からため息が聞こえる。
「そう言うと思ってたよ。上にはなんとか
席を開けたまま二人で活動ができないか聞いてみる。ダメだって言われても粘るよ。」
杏子さんは降参を示すのように両手を上げる「「ありがとうございます」」
「でも、類くんはともかく雪希くんが反発するなんて思わなかった。」
杏奈さんはクスリと笑った。

「僕にだって譲れないものがあるんです」
雪希は真剣な目で答えた。
「あの蒸し返すようになるんですけど、
犯行声明と今回のことって関係が有るんですか?」
俺の問いに二人は顔を強張らせた。

「関係は・・・わからない。
あの照明の設備を担当した方のうちの1人、
その1人の娘さんがね、あなたたちの受けた
オーディションに参加していたの。
それでうちの娘を踏み台にしてできた
チームのステージ設営なんてっていう、
無茶苦茶な理由で、照明のネジを緩めた
みたい。あんなに上手くいくなんてって、
笑顔で警察に話したそうよ。」
背中が寒くなる。
「あの、犯行声明を出した人について、
は・・・」
震える類の声に応えたのは杏奈さん

「あの時に見せてもらった封筒に
差出人に関するものは一切書かれていなかったから特定はできない」
その言葉で僕たちの顔は曇る。

「ごめんなさい。私たちがもっと真剣に
なってれば対策できたのに。」
杏奈さんはたちが頭を下げる。

「い、いえ。杏奈さんたちのせいでは」
気にしてない風を装う。
(謝られたって舞たちが目覚める訳ではない)
(僕たちが今、感情をぶつけて何が変わる?)

((どうせ吠えたって虚しくなるだけなら))