「なんか、賑やかね」
「ばあちゃん!ばあちゃんすごい人だったんだね」
入ってきたばあちゃんにそういうとばあちゃんは顔をじいちゃんに向ける
「なにを言ったの?紡さん?」
「なにも余計なことは言っていませんよ、
千春さん」
両者、笑顔だがなんか怖い。
でも既視感がある。
(そうだ、類に似てるんだ)

「じいちゃん、スマホ貸して」
「ほら」
「ありがとう」
「どうかしたの?雪希」
「ばあちゃん、僕たちのアイドルチーム、
レインボーローズって名前なんだ」
「虹色の薔薇、いいチーム名だね」
綻ばせるばあちゃんとは逆の僕の顔は
暗くなるばかり

「これ、僕たちのことなんだ」
さっきの記事をばあちゃんに見せる。
じいちゃんも覗き込み、
2人して顔が険しくなる。
「随分リーダーのことが言われてるな」
「うん」
それから今までの経緯を話した。

事故のこと、蓮と舞が目覚めないこと
言い合いをして出てきたこと。
「類が苦しんでるのを知らないで最低なこと言っちゃった。」
「そっか。私は言い合いをすることが悪い
こととは思わない。誰も嫌いな人とはぶつかりたくないでしょ?お互いがお互いを大切だと思ってるからぶつかっちゃうんだと思う
喧嘩できるって実はとても素敵なことなんだよ」

ー翌朝ー
僕は起きてすぐに家を出る、外にはもう
じいちゃんがいた。
「行くのか?」
「うん、ありがとう、いろいろ」
そういうと、じいちゃんは僕の肩を軽く叩き
家の中に入る。

朝一の電車はガラガラだった。
(類、怒ってるよね。もしかして呆れて
見限られるかもしれない。
それでも僕は)
「ほんと、自分勝手だな」
声は電車の音にかき消される。

寮の前で
(いざとなると緊張するな)
悶々と考えてても変わらないので
ドアに手を掛ける瞬間
「っ!?」
勢いよくドアが開き、顔をぶつける。

「あ!すみませ、・・・雪希、」
「た、ただいま、類」
怖くて類の顔が見れない。
「とりあえず、なか入りなよ」
中に入るが沈黙がいたい。
「雪希、スマホ持って出なかったな。」
「あ、うん」
切り出したのは類、少し反応が遅れてしまった
「行き先がわからなくて、探し回ったけど見つからなくて。
ずっと怖くて、不安で仕方なかったのに、朝帰り?
ふざけんなよ!こっちがどれだけ心配したと思って、」
ポツリポツリと呟いて、急な怒号に肩をすくませる。

「違う、言いたいのはこんなことじゃない。
色々な感情が渋滞して、自分の言いたいことがわからなくて
傷つけてごめん、押しつけてごめん」
すぐに撤回して、類は頭を下げる
「あ、謝らないでよ、類。僕の方こそごめんなさい。
なにも知らないであんなこと言って。勝手なことしてごめん」
「こんな頼りないリーダーだけど着いてきてくれるか?」
恐る恐る類は手を差し出す。
僕は迷いなくその手を握る。 

「もちろん、ついていくよ。リーダー」
僕がそう答えると、類は握る手に力を入れて
自分の方へ引き寄せる。
「うわっ」
頭に置かれる手は震えている
「舞と蓮があんなことになって、
雪希が出ていった時、
本当に怖くなったんだ。このまま終わってしまうんじゃないかって。
1人でもなんとも思わなかった俺がこんなことを思うのは初めてで。
それだけ俺の中で3人が大切になったんだ。」
涙混じりの声で紡がれた言葉に僕は共感しかなかった。

(誰も失いたくない)
類は顔を見られたくないのか下をむき、僕の肩に頭を乗せた。