「き、気のせいじゃない?考えすぎだよ」
そういう類に蓮はしばらく考え
「そうだよな、ごめん」
と言ったが歪んだ空気は変わらない。

結局、勘違いかもしれないからと杏奈さん達に報告することはせず、セカンドライブに向けてレッスンを続けた。
ネットでも、僕たちに対する口コミが増えている。
少しずつ知名度が上がっていて安心する。

数日後、寮に帰って気まぐれに郵便受けを
見ると、一通の封筒が入っていた。
宛名は類。
(まぁ、類が帰ってきてからでいいかな)
玄関を開けて、リビングのテーブルの上に
置いて部屋で宿題をしていると、
玄関を開ける音が聞こえたから降りると
類だった。

「おかえり、類。類宛に封筒、来てるよ。」
「封筒?」
テーブルにある封筒に目を向けると、
数秒考えて
「ねぇ、雪希」
「ん?」
「これって、郵便受けに入ってたんだよね」
「え、うん」
封筒を手に取り、

「なのに消印がないっておかしくない?」
「消印?」
「ポストに手紙を投函して、郵便局に
一回集められてから、手紙は相手に届く。
これは雪希も知ってるよね」
「流石にそれは知ってる」 

「その時に郵便局でこの切手は使用済みって言うハンコを押す、それが消印。
何度も使うことを防ぐための印」
「そうなんだ、ん、切手・・・?」
その封筒には切手が貼ってなかった。

「て、ことは」
僕の血の気が引いていくのを感じる。
「そう、」
類はもっと青い顔をしていた。
「この寮の場所を知っていて尚且つ、
直接郵便受けに入れられる範囲にいるって こと」 
「な、中身は舞たちが帰ってきてからで
いいんじゃない?」
「そう、だね。そうするよ」

舞たちが帰ってきてから、封を切ると
ーセカンドライブを、中止にしろ。
しないとただじゃ済まないー
送られてきたのは新聞の切り抜きで作った
ような犯行声明だ、
「どうする?」
「どうするって流石に事務所に相談した方
がいいだろ」
雪希の声に緊迫した声で蓮は返した。
「もう、事務所でも私たちがセカンドライブするって告知しちゃったから犯人を
絞れないね」
「そうだな」

杏奈さんたちに事情を話したら、
軽くあしらわれて終わってしまった