後から来た担任が場を諫めて、
位置について曲を流す。
周りを見て合わせながら、動きを合わせようとする舞に庇護欲が出てきた。
観客から、茶化しや冷やかしの口笛が飛び
テンポが乱れることがあったが、俺も舞も
動じなかった。

「類ってさ、身内とか来てるの?」
動きを止めることはなく、
ポツリと聞いてきた。
「あの人たちは俺の成績しか興味ないからね。学校行事とかは言ってもそれで?で終わりだし、俺も来て欲しいとは思ってない」
「ふーん。あ、言い忘れてたけど」
「何?」
「雪希と蓮も来てるんだ。」
「だろうね」
(この状況見られたらヤバい)

普通は相手をどんどんチェンジしながら踊るんだろうけど、それはなく相手はずっと
一緒だ。 
ふと見ると、観客から雪希と蓮を見つけた。
笑顔だが何か圧を感じる。
(帰ったらめんどくさいことになりそう)

フォークダンスが無事に終わり、
蓮と雪希と合流し、校内を見てまわる。
「ねぇ、舞。さっきからジロジロ見られてる気がするんだけど」
雪希は控えめに言った。
「私が制服だからじゃないの?
別の学校の制服きて学祭きてる人いたら
ジロジロ見るんじゃない?」
「そ、そうかな」
雪希には適当に理由をつけた。

(多分、類と一緒にいた人が他の人といる
からかな。類はこの学校で浮いてる、
のかもしれないし)
「あ、そうだ。舞、これ使う?」
そう言って蓮が差し出したのは除菌シート
「なんで?」
「なんとなく」
そう言った蓮の顔が不機嫌そうだった。

なんだかんだで類の学祭を楽しんだ私たち。
その後はスーパーで色々買い、
祝賀会を楽しんだ。