「ねぇ、蓮?」
「なんだよ」
電車で不機嫌そうな蓮に話しかける。
「蓮のクラス遊び行ってもいい」
「絶対、ダメだ」
即答された。
(よし、行こう)

昇降口で別れ教室に入ると、もう準備が終わりかけていた、
「舞、急いで。」
「ごめん、すぐに準備するよ」
紗南の声に急いで衣装に着替え、髪を縛る。
そして学園祭開始、私たちのクラスは
「おかえりなさいませ、ご主人様。」
執事喫茶です。

先陣を切ったのは戸田くん。
もちろん男子だけでは不公平なので
女子執事もいる。
セリフと所作もかなり寄せている。
荷物を持たせてもらい、椅子を引き、
メニューの説明、
「メニューは諸事情によりデザート、
ドリンクのみとなっております。
ご了承ください」
本当はオムライスとかやりたかったんだけど
家庭科室争奪戦に負けたので仕方なく、
市販品を買って提供することに。
「あの、おすすめってありますか?」
こういう対応もばっちり予習済み

「おすすめですか?それでしたらアフタヌーンセットがおすすめです。紅茶はAセットでしたらキャンディ、Bセットでしたらディンブラが相性抜群です」
「それじゃあAセットを一つとキャンディを2つ」
「かしこまりました、すぐにお持ちしますので少々お待ちください。」
歩く時も背筋を伸ばし、堂々とすることを
意識する。

「やっぱりすごいな、戸田くん」
(本物の執事みたいだ)
彼の接客を見て感心する。
「舞、手が空いてるなら接客。」
すれ違いに鈴川さんに耳打ちされ急いでドアに向かう。
「ゔ、」
接客する相手を見てかたまる。
「似合ってるよ舞」
「すごいね舞のクラス」
笑顔を浮かべる類と
苦笑する雪希がいた。

「お、おかえりなさいませ、ご主人様」
引き攣りそうになる顔を必死に抑え、
お出迎えする。
席に案内して、椅子を引く。
「ありがとう、執事さん」
類は笑顔でそう言った。
「いえいえ、これも執事の役目ですから」
「どうしたの、その燕尾服」
「こちらの服は、」
そう言いかけたが、面倒だったので声を
顰める。
「これはクラスで服飾が得意な子達が作ってくれたの。一人一人少しずつ違うんだ」

その言葉に僕は教室を見渡す。
確かにそれぞれ装飾が違う。
紫のリボンタイの人もいれば、黄色のネクタ
イの人もいる。舞は赤いスカーフタイだ。
舞のおもてなしで楽しんだあと、
ちょうど休憩時間になった舞と他のクラス
を見てまわることに。

「そういえば人気のメイドカフェがあるの知ってる?」
「執事の次はメイドか」
雪希のウキウキした声の後に類は軽く笑って答えた。
「せっかくだから覗いてみようよ、」
しばらく歩くと人だかりのある場所がある
「メイド喫茶、ここだ」
(あれ、2ー3、まさか)