「でもよかったね、骨折してなくて」
「それにしても鼻血の量、
すごかったね」
「ティッシュで抑えても真っ赤に染まってさ。焦った」

私たち3人にからかわれた雪希は
「あのシーン、流れるのかな。
カットしてほしい」
とうなだれていた。

「さて、夕飯どうする?類」
「俺に聞く?・・・暑いから
冷しゃぶとか?
2人は何かある?」
「僕は・・・なんだろう」
「俺はなんでもいい」
(なんでもいいって言ったら機嫌悪くなるの知ってるから溜めたけど
思い浮かばなかったか)

事務所のキッチンで豚バラを茹でる。
「「狭い、」」
「待って、茹でたのどこにおこう」
「なにに盛ろう」
茹でる私と、レタスをちぎる類
「「ちょっとどいて!」」
(あ、つい素が)
雪希は畳の部屋にある冷蔵庫から
ドレッシングなどをとってもらう。

「俺は、なにを」
「蓮はなにもしなくていいよ」
「あ、うん」
雪希の清々しい笑顔で放たれた言葉に
蓮は撃沈していた。

冷しゃぶを食べて食器を片付けて
雪希は室内のお風呂に、
私たちは着替えを持ってシャワー室へ。
(流石にテレビだしね。
これで一緒に住んでるとか
思われても困るし)

もったいないとわかっているが
少し冷たい水を浴びる。
(翔はなにか隠してる気がする。
なにかあるとしたら・・・引き出し。
それに、蓮も変わった?どことなく
私の接し方が変わったような。
単純にこれは感だけど)

余計な心配は疲れるだけと頭をふり
今度は暖かいお湯を浴びて、
髪と体を拭いて、シャワー室を出る。
再び部屋に戻ると雪希がドライヤーを
使っていた。

「あ、ごめん。
もうほとんど乾いたから使っていいよ」
スイッチを切って渡されたが
「いや、ちゃんと乾かしてからで」

雪希はまたスイッチを入れて、
2分ほど使ってから止めた。
コンセントは繋ぎっぱなしで場所を
交換した。

乾かしている間に、類と蓮が
戻ってきた。
類が振り返って何かを言ったらスタッフさんが入ってきた。カメラを持って。
「皆さん、ジャージなんですね」

笑いを堪えているのか丸わかりだ。
「なんだかんだジャージが楽なので」
類は愛想笑いで答えた。
(愛想笑いが上手くなったな)

私が終わり蓮、類と髪を乾かし
そろそろ布団に入ることに。

私だけ布団を隣に移動する。
スタッフさんは挨拶をして出て行った。
布団に入り電気を消したが
なかなか寝付けない。

何回か寝返りを打ったが、
新鮮すぎて脳が興奮している。
「ねぇ、誰か起きてる?」

暗くて思ったより声が小さかった。
(聞こえたかな、)
「眠れないの?」
返事をしたのは雪希。

「うん、なんか修学旅行みたいな
感じで楽しくて」
「いつもと変わらないでしょ」
クスクスと笑う声も聞こえる。
(思ったより壁薄いんだな)

「それはそうなんだけど。
ねぇ、外に出ない?
2人寝てるし、起こしそうで」
「わかった。舞先に部屋出て」
布団から出て、靴を履いて外に出る。

僕が布団から出ると、
「あまり遅くならないようにね」
「暗いから気をつけなよ。
階段から落ちるとかやめてね」
「大丈夫だって、」

最初から起きてたのかさっき起きたのかわからないけど隣にいる類を踏まない
ように慎重に外に出る。