「こんにちは、Rainbow Roseです!」
類の声で数人、立ち止まってくれた。 
(数人でも嬉しいな)

「秋桜(あきざくら)」  
(新しい曲。このイベントで披露するとは思わなかったけど)

夏の暑さはなりを顰めた
うるさいと思ってた蝉の声
聞けなくなったら少し寂しくて

涼しい風が吹いて揺れた桃色
一輪の秋桜 楽しい記憶 よみがえる
「きみみたいだよ」
そう言うと、恥ずかしそうに笑った

秋桜 その花を見るたびに
はしゃいで走る君を追いかけて
手を掴んだ 

涼しい風は冷たさを増した。
虫の声はとてもうるさくて
もう聞きたくないと耳を塞ぐ

突き刺す風で激しく揺れる白色
一輪の秋桜 悲しい記憶 よみがえる
「あなたみたいね」
そう言ってくれた君はもう記憶にしか
いない

秋桜 その花を見るたびに
はしゃいで走る君も追いかけて掴む手も
もうない

桃色の花を見つけた日にで君と出会い
白色の花を見つけた日に君を失った
桃色白色黄色 関係なく
見るたびに思い出す。

秋桜 その花を見るたびに
はしゃいで走る君はもういない。
でも今年も満開の秋桜を見に行くよ。
君が好きだった花を 何年も

(流星に願いを、を思い出すな)

他にも、2曲披露して
ステージを降りた。

Stargazerとバトンを渡して
観客席から見えない位置で見る。
はっきり言って歌もダンスもデビュー時の私たちより上だった。

(なんか凹むな)
でも、お客さんの顔色がおかしい。
(なんか疑ってる、ような)
でも気のせいかと思って
控え室に戻った。

スタッフさんからはお疲れ様と労って
もらい、イベント終了後。
少し周りを散々した。

でも私達を見るのは疑ってるような視線ばかり。
(な、なんだろう)

女の人2人とすれ違う直前
「Stargazerってアイドルグループ、
ライブ直前に先輩グループから
いじめられたらしいよ」
(え!?)

声が出そうになったが必死に我慢した
「なんか才能があるとかないとか、
同じステージに立ちたくないとか
言われたらしいよ」
「うわ、こわっ。
やっぱり裏はそういう陰湿なの
多いのかな」

「もしかして彼女たちがSNSに載せたの?でも時間なんて」
「いや、載せることなんてタップ1つですぐにできるよ」
私の疑問は蓮が解決してくれた。

「探ったら出てきたよ。動画付きで」
雪希は私たちにスマホを見せる。

「本当だ。私たちが最後に言った部分
だけ載せてる。これじゃ100%私たちの印象悪くなるよ」
「コメント欄も擁護したり批判したり
荒れてるよ」
雪希はスマホをしまって
蓮も悩んでいた。が、類は楽しそうで。

「先輩がライブで立ててあげたのに
恩を仇で返すなんて。
よっぽど俺たちを落としたいらしいけど残念。」
「類?」
「自分の発言には前から気をつけてて。俺が彼らに聞いたところから、
音は録ってたんだよ。
思考回路が一緒で助かった」
類は操作して私たちのスマホの通知を
開くと類のアカウントだった。

画面はドアしか映っていないが
背景に恐ろしい会話が。
そして類はこれが真実です、
とコメントした。

「さて、
これから彼らはどうなるかな?」
類のニヤついた顔は見慣れていたが
改めて類を怒らせないようにしようと
心に決めた