「えっと、まずはネギ、タコ、その他の中に入れる具を、待って、
何やってるの?」
「え?具材を切るんでしょ?」
「うん、切るんだよ。
だけど、蓮。料理に適した切り方って
知ってる?」
「細かく切る!」
「私は最低この4年、
何を見てきたのか知りたい」

たこ焼き粉の裏に書かれてた説明を
みて取り掛かろうと蓮を見ると
みじん切りされたタコ。
(もはや細かすぎてぱっと見タコに
見えない)
と、同時に思った。
(一筋縄でいかない)

今日は休日。
僕は午前中に仕事を終わらせて
家に帰った。
そしたら、
「まだダメだよ。これはまた後で」
(舞?)
「でもこれ以上どうすれば・・・」
なんか苦しそうな蓮の声
「諦めたらダメだよ。
もう一回、手前に引くときは力を抜きながらスッと」
「できた、舞」
楽しそうな声。
キッチンの影に体育座りして、
会話を聞く。

「あとはざっくりでいいかな、」
「じゃあ、次はこっちか」
「あ、待って、それは!」
(なんか楽しそうで妬けてくる)

「じゃあ、冷蔵庫にある具材をとって、うわ!何やってるの雪希、」
こっちにきた舞に気づかなくて、
すごく驚かれた。
(当たり前だけど)

「ごめん、出るタイミングがなくて」
「というか、なんで家に帰ってきて
隠れるの?」
「なんとなく?」
「なんとなくって・・・。
今、たこ焼き作ってるの。
雪希も手伝って」
「う、うん。」

リビングに行くと一瞬、蓮に睨まれた
「ん?どうしたの雪希」
でも蓮は平然と聞いてきた
(気のせい?)
「いや、なんでもないよ」

粉をこぼしたり、水の量を感で
入れようとしたり、こんな蓮初めて見た
(蓮、ドジっ子ってやつ?
いや、ギャップっていうのかな)

生地ができて、たこ焼きに油を引いて
生地を流すとすごく跳ねた。
「っ、」
「いた、」
僕は嫌な予感して少し下がっていたから
火傷しなかった。
よく見ると火力調節が最大になって
いた。すぐに最小にして落ち着くまで
蓮と舞も下がっていた。

天かす、紅生姜、タコと
ばら撒いて、
「これは?紅生姜、
じゃないみたいだけど」
生地の入ったボウルの向こうに、
小皿に乗せられたなにか。
「それタコ、」
「タコ!?」
思わず聞き返す。
(木っ端微塵、)

固まってきた頃に竹串でひっくり返す。
蓮がやらないと意味がないらしく
蓮がひっくり返していた。

最初は苦戦して、殆ど焦げていた。
「ん?いい匂い」
ソースの匂いが充満した頃に類も
帰ってきた。
「おかえり、類。たこ焼きあるよ」
「それは見たらわかるけど、
どうしたの?」

ここで舞は理由を説明した。
「へー、蓮はたこ焼きなんだ。
俺のクラスはワッフルだって」
「だってって他人事みたい」
「気づいたら決まってた」

そこから蓮はどんどん焼いた。
でも途中から交代してチーズ、
カットトマト、チョコレートなど
変わり種を作り、生地を作り焼いてを
繰り返した。

(あれは大変だったな。でも楽しかった)
休憩で、蓮の屋台を見ると
「蓮くん、すご~い。
手際いいね」
「ひっくり返すのもうまいな」
とクラスの人たちにもてはやされていた
「別に、そんなことない」

(まぁ、イメージダウンを阻止したから
いいかな。いや、むしろギャップ萌え
というものを狙えたかもしれない)

この前嫌というほど食べたから
買う気にはならず、体育館の方へ。
飲食店以外は体育祭で、劇やバントを
していた。