「今度の学校祭の時、デートしてよ」
「は?」
体育祭が終わり、オリジナル曲の作詞も出来上がり一息ついたのにまた面倒ごとがおきる予感

(立花のこと忘れてた)
「学祭なんてまだ先だよね。
それに学祭の前に中間テストが
あるの忘れてない?」

「じゃあ中間試験で俺がクラス1位に
なったらデートしてよ」
(なんか初対面の時は、光栄に思えとか
言ってたのに、最近は追いかけられて
いる気がする)

「ねぇ、立花。なんで私なの?
立花、顔はいいんだからよりどりみどりでしょ?」
純粋な疑問を投げると

「俺、顔がいいから今までまで異性に
モテない期間はそんなになかったんだ」
(自分語り始めたと思ったら持て自慢)

顔「が」と主張したから顔はいいって
言ったこと根に持ってるんだろうな
「クラスの女子に告られて付き合いを
繰り返して、でもいつも告ってきた方から別れを告げられて。
高校に入ってからも、
のぞいてくる輩がいて」

投げた視線を追えば廊下ではしゃぐ
女生徒。
その人たちを見る目は、なんか

「ねぇ、・・・もしかして疲れてる?」
「え、どうして?」
彼の目にほんの少し精気が戻った気が
した。

「なんとなく、かな。
自分語りして、何かあるのかなって」
前の人の席の椅子をひいて座り、
こちらを向く。
(前の人が休みだからいいものの)

「今まで両親以外で俺に近づくのは
下心のある人たちだった。
いらない、興味のないものを押しつけて株を上げようとする人ばかり。
一声かければ女子はすぐに
擦り寄ってきた」

自信に溢れたいつもの顔はなりを
顰めていた。
私にだけ聞こえるか聞こえないか
あるいは独り言のような小さな声で
その言葉は紡がれた。

「だから、あの時日比谷がなびかなくて
驚いたし、興味が湧いた。
どんな男なら興味が湧くのかな、と」
「仮に、100歩引いて仮に、
私が立花に興味が湧いたら、落ちたら
立花の興味は消えるの?」

そういうと寂しそうに笑って
「どうだろう、わからないな。
でも俺があの時日比谷にああ
言ったのは、他の人の興味を失せさせたいからだったのかもしれない。」
「立花、」
多分この気持ちは、恋じゃなくて同情
なんだと思う。

「でも、
俺が日比谷に近づいたのは、
単に興味が湧いたほかに、
俺自身が近づきたいと思ったから。
だから諦めない、日比谷とは
卒業までに恋人にはなれなくても、
友達にはなりたいから」

(なんだろう、ゲームの難易度が1下がったような感じは)
「中間テストの件、受けて立つよ。
仮に立花がクラス1位を取った程で話すと2人きりは嫌だな。
鈴川さんとか戸田くんとかさ」

そう言うと渋々だが了承した。
(まだ結果はわからないけど)

そして中間試験の結果は