「はい?」
「お姫様抱っこを
させてくださいっす。姐さん」
「待って、どう言うこと?」

昼休み、今日は気分で教室でお弁当を
食べているとグループチャットに
一通のメールが。

少し早めにお弁当を食べ、
お弁当箱を片付けてから校舎裏へ。
「で、呼び出しはなんですか?」
呼び出されていくと、さっきのことを
言われた。
「実は」
モヒカン先輩は少し恥ずかしそうにして
話し出した。

なんでも気になっている女子が
友達とお姫様抱っこできる人って
カッコいいよね。
わかる、力なさそうにみえてフワッと
抱えられるとキュンとくるよね。
と話してたらしい。

(モヒカン先輩にも春が来たのか)
としみじみしていると、
「だから姐さん、手を貸してください」

「え、嫌です」
即答すると
「なんでですか?」
「こいつにやっと春が来たのに」
と金髪先輩と坊主先輩に泣かれたが

「いや、普通に考えてくださいよ。
あなたの気になる女生徒とあなたはただのクラスメイト。
そんなクラスメイトにお姫様抱っこ 
できるなんてカッコいー、て思われるのはただしイケメンに限る、というやつ
です」
モヒカン先輩は足をついてうなだれた。
(なんか前にもみたな。こんな光景)

「でも力自慢にはなると思いますよ。
ですが、まずその女生徒と何かしらの
関係になった方がいいですよ。
手取り払いのは、友達でしょうか。
ただのクラスメイトから抜け出さないと
、もう残り少ないんですから。」 

先輩達は全員3年生。
卒業してしまうとただのクラスメイトと会う理由もない。

「・・・わかりました。まずは友達からと言うやつですね。」
モヒカン先輩はキラキラした笑顔を
向ける。
「う、うん。」
「でも姐さんってお姫様抱っこの
やり方知ってるんですか?」

坊主先輩は私に問いかけるが
「私もよく知らないんですよ。
でも急にやったら怪我するって
聞きました」
「怪我?」
金髪先輩が今度は反応した。

(きっと過去のこともあって敏感
なんだろうな)
「あれ?舞、何やってるの?」
聞き覚えのある声に振り返ると

「蓮、」
蓮が校舎裏に来るとは珍しい。
「どうしたの?蓮」
「いや、別に何って事はなくて。
ただ声が聞こえたから。」

「蓮?あー!ウエディング雑誌に
載ってた」
金髪先輩の言葉に蓮はビクリと肩を
揺らした。

「いきなりなんです、先輩」
「蓮さんはお姫様抱っこできますか?」
「ほんとなんです?いきなり」
呆れる蓮に説明すると、

「できますよ」
「できるの!?」
あっさりと答える蓮に私は目を見開いた

「実践します?」
「あ、いや」
言いかけたが先輩達のぜひ、と言う声に負けた。

「まず片膝をつきます。」
そいって蓮は左足の膝を地面につける。
「舞、手伝って」
「え、うん」
「座って」
自分の右足の太ももを軽く叩く。

恐る恐る座り、
「首に手を回して」
「え!」
「バランスとるためだよ」
蓮の首に緊張しながら手を回す。

もう少しこっち寄って、
体重預けて、力抜いてなどと言われて 
息がかかりくすぐったい。
「触るね」
小さく呟いて、
背中と膝裏に手を回す。

「じゃあ立つよ」
「うん」
視線が上がる。
「うわっ、」
と声が出てしまった。

「え、びっくりした?」
「いや、全然」
驚いた顔にすぐに否定する。

「まぁ、こんな感じです。
いきなりやると双方怪我するんで、
絶対にこのように手順を踏んでくださいね。後、恥ずかしいからって距離取る
なんてやめてくださいね。」
蓮は両腕に少し力を入れて引き寄せた。