運動会前日の夜
「類のところだけ明明後日なんだ。」
「うん、やっぱりクラス対抗リレーとか
あるの?」
「クラス対抗と選抜対抗リレー、
かな?」

横から蓮が口を出し、説明してくれた。
「一周!?かなり長いんだね、」
「というか、リレー2回やる人がいるんだ。
2人は赤組?白組?」
雪希の声に同時に答えた
「「赤組/白組」」
そう言った瞬間、雪希が小さくあっ、
と言ったのを聞き逃さなかった。

「まぁ同じチームだと面白くないし、」
「負けず嫌いの舞にはいいんじゃない?」
ニヤついた蓮の顔が何故か癪に触り、
「じゃあ、蓮は負けてもなんとも
思わないんだ」
「そこまで言ってない」
お互いに火花が散る。

「まぁ明日は見に行けないけど、頑張れ」 
「うん」
そして翌日、
赤のハチマキを結びリュックを背負い
校庭にパイプ椅子を移動させる。
開会式が終わり応援合戦や徒競走、障害走
を行い3年生の障害走になった。
網を潜り平均台を渡り並んでる紙に書いてある飲み物を紙コップ一杯飲み、最後に
借り物競走だ。

テントで見ていると、蓮が走ってきた。
「・・・なに?」
「ハチマキ、貸して」
「サンキュ」
(蓮からサンキューが出るなんて初めて。)
何も考えずハチマキを解き渡してしまった。
「・・・あ!」

(敵に塩をあげちゃった)
「1位、白。2位、赤。3位、赤。4位、
白の順でした。」
アナウンスで肩を落とす。
第3レースだったからすぐに蓮がハチマキを返しにきた。
「どーも」
「役に立ったなら良かったです」
「結んでやろうか」
「結構です」
蓮からハチマキを受け取り縛り直して入場門のところに走る。
次は私たちの女子の網取りだ。
(怖いな~。)

入場して、白線が引いてあるところに並び
ピストルと共に真ん中にある綱引きの網を
自分の陣地に引っ張っていく。
手は抜かない、むしろ手を抜いた方が怪我の確率が高いから手が抜けない。
必死に網にしがみつき引っ張る。
周りの気合の声が怖い。
「いつもお淑やかな女子が
本性出しましたー!」
とアナウンスの声が楽しそうでイラっときた

(女子、怖っ、)
蓮は顔を引き攣らせながらそんなことを
考えていた。

女子は赤組があった。
女子が終わり男子の部になった。
男子も女子とルールは変わらないが迫力が
すごかった。
(やっぱりすごいな。)
「いつも頼りない男子が
カッコよく見えます」
(男子のアナウンスが言ったこと
気にしてるのかな?)

怒涛の綱取り。勝利は白組だ。
すぐに私たちははっぴを出して入場門で
待機する。戻ってきた男子がハッピを羽織りながら入場門へ走り合流した。
(綱取りの直後にソーラン節は男子からしたら地獄だろうな)

三年生は白のはっぴの背中に好きに
絵をかける。白波や桜、炎などどれもカッコ良かった。
(来年、私は何を描こう)
ソーラン節は失敗もなく終わり安心した。
これで午前の部は終わりだ。